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緊急逮捕の要件とその他の逮捕との違い
1 緊急逮捕の要件
緊急逮捕は、一定の重罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官が逮捕状を発付するのを待っていては時機を失するときに、その理由を被疑者に告げて逮捕するものです。
緊急逮捕の要件として、①一定の重罪事件に該当すること、②高度の嫌疑、及び、③緊急性が挙げられます。
また、緊急逮捕をした後は、直ちに裁判官に逮捕状を求め、もし逮捕状が発せられなければ、直ちに被疑者を釈放しなければならないとされています。
2 その他の逮捕との違い
刑事訴訟法では、緊急逮捕以外にも、通常逮捕及び現行犯人逮捕が規定されています。
通常逮捕は逮捕状による逮捕であり、緊急逮捕とは、まず、あらかじめ裁判官から発せられた逮捕状がなければ被疑者を逮捕することができない点で大きな違いがあります。
もっとも、通常逮捕では、先ほど挙げた緊急逮捕の要件は要求されていないので、逮捕できる犯罪に限定はなく、高度の嫌疑も緊急性も要求されていません。
緊急逮捕の要件は、逮捕状の発行を後回しにしてでも、被疑者の身柄を確保することが許される場合を限定するためのものですので、あらかじめ逮捕状の発行がなされている通常逮捕の場合は、緊急逮捕のようにできる場合を限定する必要はありません。
また、現行犯人逮捕は、現に罪を行い、または現に罪を行い終わった者である現行犯人を、誰でも逮捕状なしで逮捕することができるものです。
緊急逮捕とは、逮捕の際に逮捕状を必要としないところは共通しますが、逮捕後に逮捕状を請求する必要がある緊急逮捕と異なり、現行犯人逮捕の場合、被疑者を逮捕した後も逮捕状を請求する必要はありません。
また、現行犯人逮捕は、緊急逮捕と異なり、逮捕できる犯罪が限定されておらず、高度の嫌疑も緊急性も要件とされているわけではありません。
もっとも、現行犯人逮捕は、犯罪の実行が明白で、司法判断を経なくても誤認逮捕のおそれがないことから認められていますので、その限りで、もともと逮捕できる場合を限定しているということができます。